コンクリート構造物補修の化学療法による定量システムコンクリート構造物補修の化学療法による定量システム|リハビリ工法協会
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4.2 ASR の補修工法選定事例 | コンクリート構造物補修の化学療法による定量システム|リハビリ工法協会

コンクリート構造物の補修技術

4.亜硝酸リチウムを用いた補修工法の選定事例

4.2 ASR の補修工法選定事例

(1)残存膨張量が小さい場合

条件
対象構造物RC 擁壁
環境平野部,建設後 35 年経過
試験値コンクート圧縮強度22.0N/mm2,静弾性係数 8.9kN/mm2
残存膨張量 0.021%(JCI-DD2 法;13 週)
外観変状幅0.2〜3.0mm 程度のひび割れが擁壁表面全体に見られる

補修工法選定の方針
 ASR 補修の基本は劣化因子(水分)の遮断であるため,まずはひび割れ注入工と表面保護工(表面含浸工,表面被覆工)の適用を検討する.ただし,これらの工法を適用した構造物において再劣化を生じたケースが多数報告されている.その理由は,完全な水分遮断ができなかっ
た場合や,ASR の残存膨張性が高かった場合などであることが多い.すなわち,劣化因子の遮断を主目的とする補修工法が適用できる条件は,水分の遮断が十分に見込める場合か,残存膨張性が低い場合となる.

⇒ 主たる要求性能は【劣化因子の遮断】とする

 ただし,ASR 膨張が完全に収束しているか否かを判定することは容易ではないため,単なる劣化因子の遮断だけでなく,ASR ゲルの非膨張化を部分的にでも加味した補修工法を選定しておくことが望ましい.
 これらの方針を考慮した補修工法選定比較表の例を図 4-3 に示す.
 
 

(2)残存膨張量が大きい場合

条件
対象構造物RC 橋台
環境平野部,建設後 30 年経過
試験値ンクート圧縮強度 28.0N/mm2,静弾性係数 12,8kN/mm2
残存膨張量 0.081%(JCI-DD2 法;13 週)
外観変状幅0.2〜6.0mm 程度のひび割れが橋台躯体表面全体に見られる

補修工法選定の方針
 ASR 補修の基本となる劣化因子の遮断を主目的とする補修工法が適用できる条件は,水分の遮断が十分に見込める場合か,残存膨張性が低い場合となる.本橋のように背面からの水分侵入を遮断することが困難で,かつ残存膨張性が高い場合には,劣化因子の遮断を主目的とする補修工法を適用しても再劣化のリスクが高いと考えられる.

⇒ 主たる要求性能は【ゲルの非膨張化】とする

 ASR ゲルを非膨張化する工法として亜硝酸リチウム内部圧入工法が挙げられ,この工法を適用することによって以後の維持管理における再劣化リスクを低減することができる.
 これらの方針を考慮した補修工法選定比較表の例を図 4-4 に示す.

 ここで劣化因子の遮断を目的とした補修工法(ひび割れ注入,表面被覆など)を適用する場合は,以後の維持管理において構造物の再劣化を許容し,再劣化と再補修を繰り返すというシナリオを選択することとなる.
 
 
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